2012年4月9日月曜日

調達価格等算定委員会(第4回)‐議事要旨(METI/経済産業省)


日時:平成24年4月3日(火曜日)13時~16時
場所:経済産業省 別館11階 1120共用会議室

植田和弘委員長、辰巳菊子委員、山地憲治委員、和田武委員

  1. ヒアリング
    (1)公営電気事業経営者会議、全国小水力利用推進協議会
    (2)グリーンサーマル(株)、東京23区清掃一部事務組合、水ing(株)、バイオガス事業推進協議会、みずほ情報総研(株)
    (3)日本製紙連合会、日本繊維板工業会
    (4)電気事業連合会

各意見提出団体から、資料3~12を用い説明後、それぞれ質疑応答が行われた。

公営電気事業経営者会議、全国小水力利用推進協議会

委員
kWあたりの建設費が136万円、kWhあたりの単価が300円とのことであるが、この関係は。また、設備利用率を何%で想定しているのか。

ヒアリング対象者
設備利用率は公営電気全ての水力発電設備の平均である52%を用いている。kWhあたりの単価300円については、kWあたりの建設費136万円を、24時間×365日×設備利用率で除した数値。(公営電気事業経営者会議)

委員
資料3に経費率8%とあるが、これに相当するIRRがどれくらいとなるのか。

ヒアリング対象者
経費率は初期投資を回収するために要する運転コストを積み上げたもの。IRRとは考え方が違うため、何%に相当するのかを示すのは難しい。公営水力では、これを上回る買取価格が設定されれば事業の採算が取れると考えている。(公営電気事業経営者会議)

委員
全国小水力利用推進協議会の説明資料の中で、国家戦略室想定の14~15円/kWhの操業費では発電所経営は難しいとあるが、どのような意味か。

ヒアリング対象者
実際に発電所を建設したときに運転費にこれだけ要すると、資本費ゼロでも回避可能原価を上回ることとなり、買取期間終了後に経営が成り立たないという意味。(全国小水力利用推進協議会)

委員
200kW以下、200~1,000kW以下、1,000~3,000kWという区分で計算しているが、3,000~30,000kWの間の区分は必要ないのか。

ヒアリング対象者
3,000kW以下の規模を想定して計算している。これ以上の規模であれば十分採算が取れると考えられるため、3,000~30,000kWの区分は今回は計算していない。(公営電気事業経営者会議)

委員
小水力発電の設備利用率は何%で計算しているのか。

ヒアリング対象者
コスト等検証委員会と同じ60%で計算している。(全国小水力利用推進協議会)

委員
今回の震災で水害があったが、このようなリスクをどのような形でコストに組み入れることを考えているか。

ヒアリング対象者
事故リスクをどこまで織り込むかは難しいところ。価格に反映しようとすると価格が高くなるが、事故がない時の利益が大きくなり過ぎる。保険でカバーできる範囲の事故は、保険料の中でカバーされる。(全国小水力利用推進協議会)


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委員
かなり高めの価格を提案されている印象があるが、これらの負担は最終的に地域の需要家に転嫁されることとなる。しっかり説明できる価格なのか。

ヒアリング対象者
今後開発されるものは奥地化・小規模化が予想され、発電量もそこまで多くならないため、需要家への影響は大きくないと考えている。(公営電気事業経営者会議)

委員
経費をもっと安くするという考え方はないのか。

ヒアリング対象者
経費率が8~11%と幅があるところを、最低値の8%を採用している。(公営電気事業経営者会議)

委員
公営水力については経費率という考え方で計算しているが、IRRで計算して、後日御提示いただきたい。

委員
全国小水力利用推進協議会の価格の試算について。建設に至らなかった発電所だけを対象とするのは適切ではないのでは。

ヒアリング対象者
価格の試算については、実際に建設された発電所も含めて計算している。逆に、これまで建設できた発電所のコストだけで算定した価格では、新しい地点の開発が難しい。(全国小水力利用推進協議会)

事務局
法律上、「当該供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用」と定められているので、少なくとも、既設のコストを除いて価格を計算するというのは難しい。

委員
設備の規模にばらつきがあると思うが、どのようなバラツキがあるのかを示したデータはあるか。

ヒアリング対象者
ハイドロバレーがまさにそれを示したもの。ばらつきについて、建設単価が安いものは既存のパイプライン(水路)を使っているところが多い。既存のパイプラインの減圧弁に付けるだけのものと、パイプラインをゼロから建設するための土木工事を伴うものとでは当然コストに差がある。(全国小水力利用推進協議会)

グリーンサーマル(株)、東京23区清掃一部事務組合、水ing(株)、バイオガス事業推進協議会、みずほ情報総研(株)

委員
熱利用の視点が足りていないのではないか。また、メタン発酵以外のガス化やエネルギー作物についてはどのように考えているか。

委員
買取区分について、糞尿と生ゴミを一緒に投入した方が燃焼効率が良いとドイツでは言われている。これらを分けるのではなく、統合することも検討すべきではないか。

ヒアリング対象者
熱は需要場所と供給場所が離れているため有効活用が難しい。ガス化については技術的に発展途上であり事業化は困難。(みずほ情報総研(株))

ヒアリング対象者
熱は運搬コストがかかる。熱利用を促進するためには、まずは電気の買取でバイオマス利用を進めていくことが重要。買取区分については、制度開始当初はなるべくシンプルにした方が良いと考える。エネルギー作物については、現段階では、これを視野に入れた価格設定は難しい。(バイオガス事業推進協議会)


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ヒアリング対象者
下水道事業ではコジェネの排熱を発酵槽の加温に活用しているが、全ての排熱を使い切れていないのが現状。ガス化については、汚泥を蒸し焼きにした際に、タール分が発電機の中に付着するため活用が難しい。区分の質問に関して、メタン発酵槽に生ゴミや家畜糞尿等を入れられないかという検討が現在行われているところであり、将来的にはこのような取組が広がっていくと思われる。(水ing(株))

ヒアリング対象者
清掃工場からの排熱は55℃程度であり、熱としての利用価値があまりない。発電に使っている蒸気を熱利用にも割り振ると発電効率が落ちてしまうが、この分のコスト回収ができるのであれば熱利用をすることもやぶさかではない。ガス化についてはゴミの分離が重要となるが、完全に分離しようとするとゴミの収集システム自体を見直さなければならず、難しい状況。(東京23区清掃一部事務組合)

ヒアリング対象者
熱利用は需要と供給のライフタイムが一致しないと収支が合わなくなる。今回、固定価格買取制度により長期の収支の安定性が確保できるので、次のステップとして熱利用もあり得るのではないか。(グリーンサーマル(株))

委員
バイオマスの場合、熱利用の他にも廃棄物の逆有償等を考慮する必要がある。キャッシュフローを全部把握して買取価格を決めるべき。

委員
資料5の間伐材コストには、補助金が織り込まれているのか。

委員
清掃工場について、今後、新設あるいはリパワリングする案件はどれくらいあるのか。

委員
例えば下水汚泥はバイオガス処理しなければ何らかの処理が必要になる。このようなメリット分も金額換算してコスト計算をしているのか。

ヒアリング対象者
間伐材コストには補助金は織り込んでいない。(グリーンサーマル(株))

ヒアリング対象者
都内の清掃工場は19カ所のうち3カ所が建て替え中。清掃工場の稼働年数は25~30年で、建設には7年程度要する。全国に清掃工場は1,200カ所以上あり、そのうち発電を行っているのは300カ所程度。これらが順次建て替えに入っていく。(東京23区清掃一部事務組合)

ヒアリング対象者
資料では、民間事業者が、下水処理場から余ったガスを買い取って発電するというモデルで計算している。(水ing(株))

ヒアリング対象者
糞尿の処理に対する対価について、1トンいくらにするのか、難しい問題。ある第三セクターでは酪農家から家畜糞尿を集めて集中処理をしているが、そこでは1頭当たり1万5千円程度で引き取っている。酪農家としては1頭あたり2万円程度払う意欲があるのではないかと考えている。(バイオガス事業推進協議会)

ヒアリング対象者
キャッシュフローについて、牛が多い地域では堆肥が多くでき、逆に牛が少ない地域ではあまりできないため、地域によって有価となるかどうかが異なる。コスト計算の対象外としてしまうと資源循環が図られなくなる可能性がある点、ご考慮いただきたい。(みずほ情報総研(株))


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委員
清掃工場での発電コストについて、ゴミ処理と発電でどのように費用を割り当てているのか。

ヒアリング対象者
清掃工場の設備の中で、ゴミ処理用・発電用という線引きは難しい。コスト計算に当たっては発電関連設備比率という考え方を用いている。(東京23区清掃一部事務組合)

委員
自治体によってゴミの分け方が違うので、バイオマス比率に差があるのではないか。

ヒアリング対象者
御指摘のとおり自治体によって収集形態が違うため差はある。自分たちは東京都の状況しか正確に把握できていないが、おそらくそれほど大きな違いはないと思う。(東京23区清掃一部事務組合)

委員
下水汚泥の処理事業者に支払われる処理費用と発電事業者からの燃料収入について、どのように考えれば良いのか。

ヒアリング対象者
従来、引き取った下水汚泥は、処理事業者において一万から二万円程度のコストをかけて処理していたが、これを固形燃料化し、発電事業者に売ることによってコストを圧縮することが可能となる。このことにより、下水道事業者が支払うコストも低くなるものと考えている。

委員
キャッシュフローを計算する際に色々な想定、推計をしていると思うが、これらをまとめて追加資料として御提出をお願いしたい。

日本製紙連合会、日本繊維板工業会

委員
既設設備を買取対象外にすべきとのことであるが、燃料を新たに追加した場合についてはどのように考えるか。

ヒアリング対象者
未利用のものを新たに燃料として用いる場合については既設設備も買取対象として問題ないと考えている。(日本繊維板工業会)

委員
輸入材のトレーサビリティ確保についてどのように考えるか。

ヒアリング対象者
買取対象を国内材だけに限定することはできないので、輸入材が入ってくる可能性がある。このような中、どのようなトレーサビリティを求めるのかしっかり検討しなければ、国内材の利用が進まないと思われる。(日本製紙連合会)

委員
建設廃材の中にも未利用のものがあり、それを有効利用するという視点が大事ではないか。これを対象外とするのは固定価格買取制度の趣旨からそれてしまう。

ヒアリング対象者
我々の要望としては「原則として認めない」ということであって、例外はあり得ると考えている。ただし、その場合未利用であることの証明が必要となると考えている。(日本製紙連合会)

委員
日本国内の木材ストックはあまり増加しているとは思えない。新しく入ってきた木質バイオマスの分だけ廃棄されていることになるが、このバランスが取れていないように思われる。リサイクル率が90%以上だとすると、新規の木質バイオマスはあまり発生しないのではないか。もしデータがあればお示しいただきたい。


委員
トレーサビリティをしっかり求めることによって、何を対象外とするのか、具体的に示してほしい。

ヒアリング対象者
既存用途に使われているものは全て買取対象外としていただきたい。建設廃材はほぼ全て製紙用に利用されている。林地残材については未利用であるので買取対象としても構わない。(日本製紙連合会)

事務局
マテリアル利用を優先すべきとのことであるが、その場合、具体的にどのような方法で未利用のものを識別するのか。実施可能な制度という観点からも考える必要がある。

事務局
建設廃材についてRPS制度における平均価格程度の買取価格とすべきとのことであるが、法律上、買取価格はコストに基づき算定しなければならず、恣意的に設定できるものではない。この点を踏まえて御議論いただきたい。

電気事業連合会

委員
設備認定については買取価格が決まらないと開始できないのではないか。

事務局
そのとおり。なお、設備認定に関する諸条件は政省令で決めることとなるが、これらは買取価格とは別に事務局でたたき台を作り、早い段階で一般にお示しできるようにしたい。

委員
分かりやすいシンプルな買取区分にすべきとのことであるが、太陽光の区分も一つにすべきということか。

ヒアリング対象者
例えば日照条件等によって買取価格を区分すると非常に煩雑となるため、避けていただきたい。住宅と非住宅等、現状レベルでお願いしたい。

委員
系統の整備について、電事連としてどのような計画を考えているのか。

ヒアリング対象者
再エネの普及に当たって系統増強が重要ということは理解している。ただし、接続費用については原因者負担が原則。費用負担や接続要件については発電事業者にしっかり説明していきたい。系統増強については、どこに設備が入ってくるかにもよるため、その時々に応じて決めていきたい。

以上

資源エネルギー庁 新エネルギー対策課
電話:03-3580-3023
FAX:03-3501-1365

 



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